田辺哲男
フィールド:秋田県 八郎潟
先日、ノリーズプロスタッフ進藤プロが経営するボートサービス、
スターティームカンパニー主催のイベントに、田辺哲男プロがゲストとして参戦しました。
当日は1週間前の寒さから一変し、この時期としては異例の暖かさ。
ただ水田からの水で濁りが入り、また直前の釣況も悪かったため、厳しいゲームが予想されました。
朝9時、エレキのトラブルのためスタートから約1時間遅れてゲーム開始。
東部承水路にあるスロープから出て対岸のストレッチへ入り、本湖方面に向かって流していきます。
ここは岸からリップラップが水中へ伸びている水深数十cmのシャロー。
そこにアシやブッシュが絡み、比較的変化のある湖岸線を形成しています。
岸からのシャローの範囲はそれほど広くなく、岸から数mのボートポジションの水深は1.5m前後。
タックルはロードランナー ヴォイス HB640MLにタダマキ112(237:ハーフミラーチャート)。
これをショートディスタンスのピッチングでブッシュの間やアシのポケットを撃っていきます。
着水後、ひと呼吸置いてからロッドストロークで数十cm引いて潜行させ、1回ポーズ。
さらに2ジャーク入れてバイトがなければ回収、というパターン。
ポーズやジャークを入れるのは、魚にルアーの存在を知らせる意味で重要とのこと。
すると釣り開始から20分も経たないうちに1匹目をキャッチ!
同船して大会に参加していた三差さんにも同じ方法をアドバイス。
三差さんは手持ちの中からサスペンドタイプのレイダウンミノーミッド110SPをチョイス。
すると、10分ほどで三差さんにもヒット!
これは残念ながらボート際のジャンプでフックオフしてしまいましたが、
このパターンが有効であることの何よりの証明となりました。
この様子を見ていた田辺プロは、さらに1歩踏み込んで、
「タダマキ112のレンジよりも浅いレイダウンミノーミッド110でいいのか」と判断。
手持ちにサスペンドがなかったため、フローティングタイプの
レイダウンミノーミッド110F(BR-224:インパクトクラウン)をチョイス。
途中、「ここにはシラウオが多い。水の色もいい」と、ベイトの存在や水質も確認しつつ、
引き続き岸際を丁寧に撃っていきます。
そしてブッシュの奥でアクションを入れたジャークベイトに待望の2匹目がヒット!
これはおそらくオスのためウエイト的には伸びませんでしたが、グッドサイズには違いありません。
1匹目のヒットからここまで、およそ1時間。
すぐにもリミットを達成できるかと思われたその矢先、本湖方面への流れが出てきました。
同時に水質も悪くなり、シラウオの姿も前ほど見えなくなりました。
途中、バイトもあるにはありましたが、魚が追い切らないこともあり、痛恨のミス。
同じストレッチを往復したところで、「本湖方面の水を確認したい」と移動。
大潟橋下流の両方の岸際を確認していきますが、朝釣れた場所のような
岸際のシャローの範囲がそれほど広くなく、そこにある程度水深のあるエリアが隣接し、
ブッシュやカバーがあり、さらベイトや水という条件が揃わなかったため、
残り1時間は朝にラッシュのあったストレッチへ入り直します。
しかし朝の再現とはならず、ここで13時のウエイインヘ向かうためゲームを終えました。
参加者29名中11名がウエイインしましたが、田辺プロ以外に2匹持ち込んだのは
優勝した白鳥さん(2,800g)のみという、決して簡単ではなかった今回のイベント。
参考釣果ですが2匹2,260gは2位に相当する成績で、参加者も田辺プロの釣りに興味津々。
田辺プロに今回のゲームのポイントを説明してもらいました。
「今回狙ったのは、岸際のカバーやブッシュでシラウオを待ちかまえている魚。
魚の視線は上を意識していたので、持ち込んだルアーの中から
魚を浮かせる力を持ったルアーであるタダマキ112やレイダウンミノーミッドを使用した。
季節の進行や魚の状態に合わせれば、サスペンド、フローティング、ハイフロート、
それぞれ有利な状況があるだろう。
ただ、岸際のカバーやブッシュをスリーフックのジャークベイトで攻めるには、
ソフトベイトよりもさらにタイトに入れる必要がある。
理由は、根掛かり回避は勿論、潜らせるワンアクションでどうしても沖側へ移動してしまうから。
さらに今回は、ハードベイトを追うほどの活性が魚になかったためキャスティング精度は重要で、
精度の高いピッチングとロッドによるアクションを考えると、
HB640MLと110サイズのジャークベイトという組み合わせは合っていた。
タダマキ112から入ったのは、2日前の夕方釣りをして1,600gクラスを釣っていたから。
その名の通り、タダマキ112は「ただ巻き」で使うのが基本だが、ハードベイトにセオリーはない。
タダマキ112やレイダウンミノーミッド110がシラウオに見えるはずもないが、
実際に理に適っていたからこそ結果も出ている。
この釣りは分かっていればある程度誰にでもできるだろうが、「出し時」というものがあり、
例えば魚が意識しているベイトがザリガニだったら成立しなかっただろうし、エリアも重要だった。
そんな出し時が分かるようになるには、数多く釣りに行き、フィールドを観察して練習すること。」
最後に。
大会終了後、居残って田辺プロからセミナーで教わったパターンを練習していた参加者の1人が
「言うとおりやったら釣れました!」と、お礼を言いにきてくださったことも付け加えておきます。
<タックルデータ>
ロッド:ロードランナー ヴォイス HB640ML
ライン:フロロ14lb.
ルアー:タダマキ112(137 ブルーチャートタイガー、237:ハーフミラーチャート)
レイダウンミノーミッド110F(BR-224 インパクトクラウン)
レポート:河手崇(マルキユー株式会社)